コラム

メタボリックシンドロームとは

2025.10.28


皆さんは「メタボ」と聞くと、どのような状態を思い浮かべますか?
「最近食べすぎてメタボ気味だ」「メタボでやばい」などという言葉からも分かるように、多くの人が「メタボ=太っている状態」というイメージを持っているのではないでしょうか。
そのイメージはおおむね正しいのですが、実は「メタボ」「肥満」「肥満症」は、似ているようでそれぞれ意味が異なります。
今回は、そんな「メタボ」について、正しく理解するための解説をしていきます。

メタボリックシンドロームとは

「メタボ」とは、正式には「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と呼ばれます。これは、内臓脂肪型肥満を基盤として、高血糖・高血圧・脂質異常のうち、いずれか2つ以上が同時にみられる状態を指します。
メタボリックシンドロームになると、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を発症するリスクが高まることが明らかになっています。

メタボリックシンドロームの現状

厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、メタボリックシンドロームが強く疑われる人は、20歳以上では男性が28.2%、女性が10.3%でした。また、予備群と考えられる人は、男性で23.8%、女性で7.2%と報告されています。
さらに、特定健診※の対象となる40~74歳に絞ってみると、メタボリックシンドロームが強く疑われる人は男性で29.8%、予備群が24.7%、女性では強く疑われる人が9.5%、予備群が7.2%でした。
つまり、40~74歳の男性の約2人に1人、女性の約5人に1人がメタボリックシンドロームに注意が必要な状態にあるということです。
※特定健診とは、40歳~74歳の方を対象に、生活習慣病予防を目的として行われる、メタボリックシンドロームに着目した健康診断です。

「メタボ」「肥満」「肥満症」の違いは?

「メタボ」の概念については先ほど説明した通りですが、これとよく混同されやすい言葉に「肥満」と「肥満症」があります。
ざっくり言うと、**「肥満」は単に体に脂肪が多い状態を指し、「肥満症」**はその肥満によって健康に悪影響が出ている、あるいはそのリスクが高い状態を意味します。
ここでは、「メタボリックシンドローム」「肥満」「肥満症」のそれぞれの定義と診断基準について解説します。

メタボリックシンドロームの診断基準

2005年に、日本内科学会をはじめとする8つの学会によって、メタボリックシンドロームの診断基準が策定・発表されました。

<メタボリックシンドロームの診断基準>

① 必須項目
ウエスト周囲径:男性85cm以上、女性90cm以上
※内臓脂肪面積が男女ともに100㎠以上に相当

② 上記①に加えて、以下の3項目のうち2項目以上を満たす場合、メタボリックシンドロームと診断されます。
1, 脂質異常:
血中中性脂肪(TG)150mg/dl以上、または HDLコレステロール(善玉)40mg/dl未満
2, 血圧高値:
収縮期血圧(上)130mmHg以上、または拡張期血圧(下)85mmHg以上
3, 高血糖:
空腹時血糖値110mg/dl以上

なお、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、高血圧、糖尿病のいずれかに対して薬物治療を受けている場合も、それぞれ該当項目に含まれます。

肥満の定義

肥満の判定には体格指数(BMI:Body Mass Index)が用いられます。
BMIは、体重[kg]を身長[m]の2乗で割ることで算出され、25以上の場合に「肥満」と分類されます。
つまり、肥満とは身長に対して体重が多い状態を指します。

肥満症の定義

肥満(BMI25以上)のうち、以下に示す11種類の健康障害(合併症)のいずれかが認められる場合、または健康障害を引き起こす可能性が高い内臓脂肪の蓄積がある場合に、「肥満症」と診断されます。

<11種の健康障害>

1,耐糖能障害
2,脂質異常症
3,高血圧
4,高尿酸血症・痛風
5,冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症
6,脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作
7,脂肪肝
8,月経異常、不妊
9,睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満定款貴症候群
10,運動器疾患:変形性関節症・変形性脊椎症、手指の変形性関節症
11,肥満関連腎臓病

メタボリックシンドロームの危険性

メタボリックシンドロームは、脂質異常・高血圧・高血糖といった要因を併せ持つため、心筋梗塞などの心血管疾患を発症する高リスク群とされています。
実際に、端野・壮瞥町研究では、メタボリックシンドロームの人は非メタボリックシンドロームの人に比べて、心血管疾患を発症する相対リスクが2.2倍高いことが示されています。
つまり、メタボリックシンドロームの人は、そうでない人に比べて心筋梗塞などの心血管疾患を発症する可能性が約2.2倍高いということです。

メタボリックシンドロームの予防について

メタボリックシンドロームでは、各危険因子(血糖・血圧・脂質など)への個別の治療も重要ですが、根本には内臓脂肪の蓄積があります。そのため、食事や運動など生活習慣の改善によって内臓脂肪を減らすことが最も大切です。
目安として、半年で体重の約3%を減らすことで、血糖値・血圧・脂質のいずれも改善が期待できるとされています。
まずは、摂取エネルギーを適正に保つことを意識し、1日5,000歩程度のウォーキングから始めてみましょう。

まとめ

本記事では、メタボリックシンドロームの概念や診断基準、肥満・肥満症との違いについて解説しました。
メタボリックシンドロームがあると、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を発症しやすいことが分かっています。
日々の生活習慣を整え、定期的に健康チェックを受けることで、早めに対策を講じることが大切です。

◼︎ 参考文献

・小山英則. “メタボリックシンドローム”. 今日の治療指針: 私はこう治療している. 福井次矢ほか編. 2024年版, 医学書院, 2024, p.763-765.

・厚生労働省. 令和元年国民健康・栄養調査報告. 令和2年12月. https://www.mhlw.go.jp/content/001066903.pdf, (参照 2024-08-14).

・“メタボリックシンドローム”. 肥満症診療ガイドライン2022. 一般社団法人日本肥満学会編. 2022, p.18-27.

・“肥満と肥満症について”. 一般社団法人日本肥満学会. http://www.jasso.or.jp/contents/wod/index.html, (参照 2024-08-14).

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