
Q.高尿酸血症の定義とは
性別や年齢に関係なく、血清尿酸値が7.0mg/dLを超える場合に該当します(『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』より)
Q.なぜ尿酸が高くなるのか
尿酸はプリン体が分解されてできる最終的な代謝産物です。高尿酸血症は、プリン体の過剰摂取、尿酸の産生亢進、あるいは排泄の低下によって引き起こされます。尿酸の産生が過剰になる要因としては、骨髄増殖性疾患や溶血性貧血などの血液疾患、ビタミンB12の欠乏などが挙げられます。一方、尿酸の排泄低下の原因には腎機能の低下や特定の薬剤の影響があります。さらに、アルコールは肝臓での尿酸合成を促進し、血清尿酸値を上昇させます。また、果糖を多く含む清涼飲料水も尿酸値を高める要因となります。
Q.尿酸が高いと何が問題?
Q.どのぐらい尿酸が高くなるとお薬を飲む必要がありますか?
以下のようなケースでは、薬物療法が必要とされます。
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血清尿酸値が7.0mg/dL以上で、痛風関節炎(痛風発作)や痛風結節が認められる場合
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尿酸値が8.0mg/dL以上で、腎機能の低下、尿路結石、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなどの合併症を伴っている場合
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尿酸値が9.0mg/dL以上の場合
なお、高尿酸血症の治療では、薬物療法の有無にかかわらず、食事や運動などの生活習慣を適切に管理・継続することが非常に重要です。
尿酸を下げるお薬にはどんな種類がありますか?
尿酸値を下げる治療薬には大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは「尿酸生成抑制薬」で、体内で尿酸が作られるのを抑える薬です。もうひとつは「尿酸排泄促進薬」で、すでにできた尿酸を体の外へ排出しやすくする働きを持っています。
高尿酸血症や痛風の発作を防ぐためには、薬だけでなく、日々の食生活にも気をつけることが大切です。では、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
尿酸値は、体重や体脂肪と深い関わりがあります。BMIや体脂肪率が高くなると、尿酸値も上昇しやすくなることがわかっています。
高尿酸血症は、高血圧や糖尿病と同じく生活習慣病のひとつ。だからこそ、日々の食生活を見直すことが大切です。適正なエネルギー量を守りながら、尿酸のもとになる「プリン体」のとりすぎにも注意しましょう。
プリン体の量は食材によって大きく異なります。1日に摂取するプリン体の目安は400mg程度に抑えるのが理想です。
痛風関節炎(痛風発作)とは?
高尿酸血症の状態が長く続くと、体内で尿酸が結晶(尿酸ナトリウム=MSU結晶)となって、関節や周りの組織にたまっていきます。
これは、水に砂糖や塩を入れすぎると最初は溶けても、だんだん溶けきれなくなって結晶が出てくるのと同じようなしくみです。体の中でも、血液に尿酸が多くなりすぎると、いずれ関節などにその結晶が沈着してしまうのです。
このMSU結晶が何らかのきっかけで関節の中に剥がれ落ちると、白血球がそれを異物とみなして攻撃します。その結果、激しい炎症が起こり、いわゆる「痛風発作」と呼ばれる強い痛みが生じます。
痛風発作は治療しない場合、たいてい24時間以内に痛みがピークに達し、数日間は強いまま続きます。発作は1週間ほどでおさまることもありますが、その間は日常生活に大きな支障が出ることも少なくありません。
痛風関節炎(痛風発作)の特徴は?
- ・中年男性に起こりやすい
- ・痛みは24時間以内にピークに達し1つの関節(単関節)に炎症が起こる
- ・特に足の親指の第一関節に起こりやすい
- ・10日ほどで自然と良くなり痛みがない時期がある、
- ・背景に高尿酸血症がある
- ・無治療なら次第に発作の頻度が増えて慢性化し、痛風結節を生じる
痛風関節炎はどのように治療しますか?
痛風発作(痛風関節炎)が起こったときは、炎症や痛みをしずめるための薬で治療を行います。使われる主な薬には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、コルヒチン、**グルココルチコイド(ステロイド)*などがあります。
これらの薬は、できるだけ早いタイミングで使い始めることが大切で、症状が治まったら速やかに中止します。
どの薬を使うかは、発作の重さや、持病の有無(合併症)・他のお薬との飲み合わせなどを考慮して、医師が適切に判断します。
高尿酸血症や痛風発作の場合、どこを受診したら良いですか?
健康診断などで「尿酸値が高い」と指摘された場合は、まず内科を受診するのが適切です。血液検査の結果をもとに、生活習慣の見直しや必要に応じた治療について相談できます。
一方で、**突然関節が腫れて強く痛むような症状(痛風発作)**がある場合は、整形外科やリウマチ科での診察も検討しましょう。関節の腫れや炎症の評価、痛みのコントロールなどに専門的に対応しています。
当院でも、高尿酸血症や痛風でお困りの方の診療を行っております。尿酸値が気になる方、痛風を繰り返している方は、どうぞお気軽にご相談ください。
おおば内科クリニック
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