コラム

血糖値が高い!糖尿病を解説

2025.09.04

糖尿病とは、血液中の糖(血糖)の濃度が異常に高くなる病気です。これは、体内での血糖の調整がうまくいかなくなることで起こり、放置すると慢性的な高血糖状態が続き、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあります。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2019年・令和元年度)によると、糖尿病が強く疑われる20歳以上の人は、男性で19.7%、女性で10.8%でした。令和2年・3年度は新型コロナウイルスの影響で調査が中止されましたが、この10年間で見ると大きな変化はないものの、割合は男女ともに過去最高となっています。糖尿病は進行すると、目や腎臓、神経、血管などに深刻な影響を及ぼす可能性があります。しかし、早期に発見し、生活習慣の見直しや適切な治療を行うことで、合併症の予防や健康な生活の維持が可能です。この記事では、糖尿病の基礎知識から予防・治療までをわかりやすく解説していきます。

血糖値とは?

血糖値とは、血液中に含まれるグルコース(いわゆる糖分)の濃度のことを指します。通常、血糖値は自律神経やホルモンの働きによって、体内で厳密にコントロールされています。健康な状態では、空腹時の血糖値は70〜100mg/dL、食後1〜2時間後の血糖値は140mg/dL以下が正常とされています。糖尿病では、この血糖値が慢性的に高い状態が続くことが特徴です。しかし、血糖値は高すぎるだけでなく、低すぎても体に悪影響を及ぼすため、適切な範囲に保つことがとても重要です。

血糖値を調整するホルモン:インスリンの働き

前述の通り、血糖値は自律神経系やホルモンの働きによって、体内で厳密にコントロールされています。血糖値を適切な範囲内に保つためには、「血糖値を上げる作用」と「下げる作用」のバランスが重要です。血糖値を上昇させるホルモンには、グルカゴンやコルチゾールなど、複数の種類があります。一方で、血糖値を下げる働きを持つホルモンは「インスリン」ただ一つです。インスリンは、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンで、血液中のグルコースを細胞の中に取り込み、エネルギーとして使えるように促す働きをしています。この作用によって、血糖値は正常な範囲に下がります。しかし、インスリンの分泌が不足したり、十分に機能しなくなると、血糖値が高いままの状態が続くようになります。その結果として、糖尿病を発症するリスクが高まります。

糖尿病には1型と2型の2つのタイプがある

糖尿病には主に1型糖尿病と2型糖尿病の2つのタイプがあります。

1型糖尿病

1型糖尿病は、体の免疫システムが誤って自分自身の膵臓(すいぞう)を攻撃し、インスリンを分泌する細胞を破壊してしまう自己免疫性の病気です。その結果、膵臓からインスリンがほとんど、あるいはまったく分泌されなくなり、血糖値が高い状態(高血糖)になります。発症しやすい年齢は子どもや若年層に多いとされていますが、中高年で発症することもあります。インスリンが体内で作られなくなるため、治療にはインスリン製剤を注射などで外から補う必要があります。適切な管理と治療によって、1型糖尿病の人も健康的な生活を送ることが可能です。

2型糖尿病

2型糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの量が不足したり、インスリンの働きが弱まることで、血糖値が適切に調整できなくなり発症する病気です。発症のピークは40歳以上に多く見られますが、近年では食生活の変化や運動不足により、若い世代での発症も増加傾向にあります。原因としては、肥満や運動不足などの生活習慣に加え、遺伝的な要因も関与しています。2型糖尿病は、早期の生活習慣の見直し(食事・運動)や薬による治療でコントロールが可能です。適切な管理を行うことで、合併症のリスクを減らし、健康的な生活を維持することができます。

糖尿病の診断

糖尿病は高血糖の慢性的な持続により診断されます。

例えば以下のような「糖尿病型」と呼ばれる状態が別の日で2回確認されれば糖尿病と診断されますが、他にも様々なパターンがあります。

糖尿病型

・血糖値

空腹時血糖値126mg/dl以上

75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値:200mg/dL以上

随時血糖値200mg/dl以上

・HbA1cが6.5%以上

糖尿病の治療は食事運動療法

糖尿病の治療は、主に食事療法や薬物療法を中心に行われます。治療の最大の目的は、血糖値を適切な範囲にコントロールし、長期的な合併症の発症を予防することです。

また、治療を進める上で注意が必要なのが「低血糖」です。血糖値が下がりすぎると、意識障害などの深刻な症状を引き起こす可能性があるため、血糖値を「下げすぎない」ことも非常に重要です。

食事療法

糖尿病の管理には、バランスの取れた食事が欠かせません。カロリーを適切にコントロールしつつ、炭水化物・タンパク質・脂質といった三大栄養素の割合をバランスよく整えることが大切です。また、血糖値の急激な上昇を防ぐためには、食事の内容だけでなく「食べ方」にも工夫が必要です。たとえば、毎食きちんと食べる、野菜やおかずから先に食べる、全粒穀物などの低GI食品を選ぶといった対策が効果的です。
これらの食習慣を意識することで、血糖値の安定に役立ち、糖尿病の進行や合併症の予防につながります。

薬物療法

糖尿病の薬物療法には、インスリン注射や経口血糖降下薬(飲み薬)が含まれます。1型糖尿病では、体内でインスリンをほとんど分泌できないため、インスリン注射が必須となります。一方、2型糖尿病では、まず食事療法を基本としながら、必要に応じて経口薬やインスリンを使用することがあります。
使用する薬の種類や投与量は、患者さん一人ひとりの症状や治療への反応に応じて、医師が適切に調整していきます。

糖尿病を放置すると危険です

糖尿病を適切に治療せず放置すると、さまざまな健康上のリスクが高まります。高血糖の状態が長期間続くことで、全身の血管にダメージが蓄積し、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。代表的な「3大合併症」として知られるのが、眼の網膜症、腎臓の障害(糖尿病性腎症)、神経障害です。これらに加えて、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる重大な病気のリスクも高まります。さらに、高血糖の影響で免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、傷が治りにくくなることもあります。こうした合併症は、生活の質(QOL)を大きく下げる要因にもなります。そのため、糖尿病は「血糖値が高いだけの病気」ではなく、全身の健康に関わる重大な疾患であるという認識が必要です。

気になる症状があれば、まずはご相談を

当院では、糖尿病を含む生活習慣病診療に力を入れております。
ちょっとした体調の変化でも、お気軽にご相談ください。

 

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